暮らしを磨くとき

理想は丁寧な暮らしをする上品レディ。愛するくらしを実現するための生活記録。

歪んでいたっていいじゃない

自分のことをはっきり理解している、と言い切れる人って、一体どのくらいいるんだろうか。30歳まであと4ヶ月ちょっととなり、そろそろ私も「自分のことくらい自分がいちばんよくわかってますよ」と、へらへらと大人らしいいい感じの風を吹かせてみたいが、とてもじゃないけどまだそんなことは出来ないな、とはっきりと思う。

今日は待ちに待ったお休みで、ずっと行きたいと思っていたとある場所へ行く予定だった。彼のお休みも合っていたので、何かと切りつめて生活している中の久しぶりのデート。行きたい場所はそこそこ近所だし、うろつくくらいなら普段は面倒がって化粧もしないが、今日はなんとなく、可愛い私で彼の隣に立ちたかった。

私は黒目が劇的に小さいので、クリアコンタクトをすると人相がはちゃめちゃに悪い。だからカラコンはお出かけの時の必需品だ。いつもの通り、3種類用意しているワンデーの中から、今日したいメイクに合いそうなオリーブグリーンのカラコンを手に取った。

子供の頃から目が悪く、今となってはドドド近眼の私はコンタクトレンズの愛用歴も長く、レンズの装着なんか、目を瞑っていてもできるくらいに造作もないことだ。今日も勝手知ったる迷いのない手つきでレンズを装着した。両目ともレンズを入れて、ぱちぱちと瞬きをして、着け心地を確かめる。

「めっちゃめちゃ見えん」

コンタクトの裏表はあっている。

度数も最近測ったばかりで、平日はメガネで過ごしているとはいえいくらなんでもこんな速度で視力が落ちることは考えがたい。待って、わからん。何ごと?15分悩んだ。

私、ほんとにこんなに目悪くなっちゃったのかな……と考えていると、ふと、コンタクトレンズのパッケージが目に入った。そして、1つの疑問が頭をよぎった。「もしかして右と左入れ間違えた……?」

そんなはずはない。今の度数になって何回コンタクト入れてると思ってんの?自分の左右の度数くらいちゃんと覚えてるわ!(笑)……と思いつつ、1度浮かんだ疑念はなかなか拭えない。「まー、そんなこと絶対ありえないけどね!(笑)」と思いつつも、コンタクトを外して、左右逆にして入れてみた。 ピッタリだった。いつも通りの視界すぎて、ちょっと笑うくらいピッタリだった。あーびっくりした。ただ間違えたって感じではなかった。もうしっかりと、自分の左右の視力の状態を忘れ、はっきりとした意思を持って、私は私のことを誤解していた。

 

……自分のことをはっきり理解している、と言い切れる人って、一体どのくらいいるんだろうか。「自分のことくらい自分がいちばんよくわかってますよ」とか、冗談でも誰かの前で、1度でも言ったことがなくてよかった、と思った。そんな恥ずかしいことがあってたまるか。