暮らしを磨くとき

理想は丁寧な暮らしをする上品レディ。愛するくらしを実現するための生活記録。

猫のあくび

お題「私○○がやめられないんです!」

 

猫の口の匂いを嗅いだことがある人ならわかると思うが、猫の口はなかなかに芳しい。生あたたかく、ふんわりとお魚の匂いがする。正直言って臭い。猫はあんなにかわいい見た目をしているのに、口とおしりとトイレがめちゃめちゃ臭いのが不思議だ。クラスで一番かわいい子の好きな食べ物が生牡蠣だったり、好きな芸能人がくりぃむしちゅー上田晋也だったり、好きなバンドがKISSだったりした時くらいのギャップがある。

うちの猫、まぐろちゃんは自由かつ孤高の猫ではあるが人のことも大好きなので、座れば膝に乗りたがるし、洗濯を干しにベランダに出れば一緒に出たそうに窓の前で姿勢正しく座って待っているし、布団には一緒に入りたがる。

まぐろちゃんは人の布団で一緒に寝る、と先日投稿した「2匹の娘の話」でちらりと触れた。寝る場所は日によって違い、私が折り曲げた膝の裏側のくぼみだったり、彼の足元だったりするが、寝る前はほぼ必ず、私と彼の肩の間に香箱を作っている。

まぐろちゃんはとても賢い猫なので、「だめよ」と言われたことは、徐々に諦める。猫なので自分がやりたいと思ったことを「だめ」の一言ですぐにやめることはできないが、こちらが根気よく「だめよ」と言えば、そのうち諦めてくれる。まぐろちゃんは、人の顔や体をなめるのが大好きで、特に寝る前はよく舐めてくれるのだ。そして私に「だめよ」と言われ続けている。

お風呂上がりの私の体は、化粧水やら乳液やらボディクリームやら、ありとあらゆるものを塗りたくっているので、まぐろちゃんの健康を考えるとおいそれと舐めさせてあげられないのだ。まぐろちゃんとしては、おそらくママの肌は味がするので舐めたいのだろうが、母として、飼い主として良しというわけにはいかない。私が拒否をする代わりに、なにも塗っておらず安心の無添加である彼のことをまぐろちゃんはよく舐める。彼が拒否をしなければ、10分でも20分でも顔や腕や手や指の先をぺろぺろぺろぺろ……彼はおいしいのだろうか。

そういうわけで、我が家ではいつでも猫の顔面、ひいては口元を眼前で楽しむことができる。顔を近づけても嫌がらないので、しょっちゅう顔をくっつけては文字通り頬ずりをして「まぐろちゃんはかわいいねえ」と撫でまわしている。まぐろちゃんはじっとしていて、そのうちゴロゴロ言い出す。

ゴロゴロ言うときの猫は喜んでいるとか、くつろいでいるというのが通説だ。なのでまぐろちゃんは私に頬ずりされ、撫でまわされ、もみくちゃにされているときにくつろいでいるのだそうだ。猫がくつろぐときは大体すぐに眠気もやってくる。まぐろちゃんは、さんざんもみくちゃにされた後、かわいい白い前足で「ちょい離れて……」と私の胸を少し押し戻し、じっと目を見つめて瞬きをした後、必ず大きなあくびをする。私の目の前で。あのかわいいお顔に似合わない、お魚臭い口を大きく開けて、ふわぁあ~~、と生温かいあくびをするのだ。私はそれを顔面に浴びるのがやめられない。

人のあくびを顔面で受け止めるなんて、いくら大事な彼のあくびであってもいやだと思う。人のあくびは大して匂わないが(個体差はあり)、なんかいやだ。向こう向いてやってほしい。

でも、猫のあくびはどんなに臭くても、生ぬるさがちょっと気持ち悪くても、全然かまわない。臭いことさえかわいいのだ。なんなら、少し臭いくらいでちょうどいいのかもしれない。私は猫のあくびの匂いを嗅ぐのがやめられないし、おそらくこれからも許される限り辞めないと思う。

 

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