暮らしを磨くとき

理想は丁寧な暮らしをする上品レディ。愛するくらしを実現するための生活記録。

美人女子社員の仮面

私の勤めている会社は、都内某所のビルの一角にあるのだが、コロナ禍に突入してからは在宅勤務となり、4年がたった今も、出社は月に1度きりで、非常に働きやすい。出社当日の私は「面倒くさいなあ……」と内心毒づきながらも、非常にしゃっきりとした、まっとうな社会人のごとくオフィスでの仕事に励んでいる。姿勢正しくデスクチェアに座り、数少ないこなすべきタスクに取り組み、上司の声掛けに笑顔で答え、必要とあらば雑談も少々。オフィスの花としてひっそりと咲きつつ過ごすのだ。

ところが、出社をした翌日の私は、反動からか紛うことなきポンコツとなる。もうポンコツとしか言いようがないほどのポンコツぶりだ。どれだけポンコツかと言うと、まず朝は起きられない。出社の日は、朝5時に起きて支度を始める。始業の10分前にオフィスに着く予定ならばこんなに早く起きる必要は無いが、以前そのスケジュールで出社をしたら通勤ラッシュに巻き込まれ、体は痛い、荷物は重い、電車は臭いの三拍子で、結局午後まで頭が回らなかったのだ。あまりにもしんどく、とても耐えきれないので、今は始業の1時間半前には職場の最寄り駅に降り立ち、時間までカフェで時間を潰すようになった。

そして始業してからも、いつもなら15分ほどで完了するタスクに30分ほど時間をかけて取り組む。まったくもって集中していないし、頭も回らない。私はライターとして会社に在籍しているので、一日のほとんどを原稿の制作と確認に費やすが、この作業もほとんどできない。というか、できなくてもいいように昨日の私がやっておいてくれちゃっているのだ。昨日の有能な私に甘えるようにして、午前中はほとんどのタスクをさぼってしまう。回らない頭で無理をして原稿を書いたり確認したりしてミスが増えるなら、やらないほうがよっぽど良いのだ。

休憩中は、昼寝をしているかベッドに座ってボーっと天井を眺めているか、インスタを見ているか……つまり何もしない。「昨日の疲れが今来た」を免罪符にして、午前中だらけ切っていた体をさらにだらけさせる。メタモンくらいゆるゆるにしてやる。

昼寝から起きられず、ナチュラルに10分ほど休憩を延長して午後の仕事に取り掛かるが、上述した通り、昨日の有能かつファビュラスな私のおかげで午後もほとんどやることがない。なので、大体ネットサーフィンをする……回らない頭で無理をして原稿を書いたり確認したりしてミスが増えるなら、やらないほうがよっぽど良いのだ。(どこかで聞いた気がするが、昨日の疲れを引きずっているため、午前中の記憶なんかほとんどない)

出社の翌日、私が唯一ポンコツを脱する時間は、定時だ。どうせやることなんかないのだから、ダラダラ残業をしていたって意味はない。始業から定時まで、もう十分給料泥棒状態で過ごしているので、これ以上はいただきすぎというものだ。在宅なのでダッシュする必要はないが、定時を迎えた瞬間に退勤のメールを送信し、「定時ダッシュ」で終業する。こうして出社の翌日は、午前は何もせず、午後も何もせず、ただ定時で帰るだけの1日を過ごしている。(たった1文で完結するのに、こんなに長々と書いて、文章が書けるって楽しいなァ。)

出社さえしなければ、こんなことにはならないはずなのだ。朝から電車で体力を削られ、騒がしいオフィスで集中を欠き、帰りの電車で満身創痍。完全在宅ワークなら、毎日同じペースで生活し、同じような集中力で仕事を続けられる。仕事が嫌いなわけではないし、そこそこのやりがいもありはする。それがたかが1回出社の日に「美人女子社員」を演じたばっかりに、翌日とんでもない干物女が顔を出すのだ。「出社の次の日はポンコツ」という簡単な話ではなかった。この干物女は顔も洗わないし、仕事もしないし、もはや怪物だ。オフィスの花の命は短い。そしてその命は、怪物・干物女によって踏みつけにされ、奪われる。これはとっても悲しいお話だ。社会問題にも匹敵するだろう。

毎日効率的に仕事をするのであれば、そして社会に悲しき怪物を産み落とさないためには、必要のない出社は控えたほうがいい。経営者の皆様方、聞こえておりますでしょうか。悲しき怪物からの涙の訴えでございます。

 

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